①交際費とは
交際費は、会社の得意先や仕入先など、事業に関係のある人に接待や贈答などを行うために支出するもので、会計上には費用として計上されます。しかし税務上は、冗費(むだな費用)を抑制するために、一定額は損金に算入されません。
税法上の交際費の範囲は、社会通念上の交際費の範囲寄り広くなっています。
⑴交際費の範囲
税法では、交際費の範囲を次のように定めています。
◆交際費の範囲
得意先・仕入先・その他事業に関係ある者等に対する接待・供応・慰安贈答・その他これらに類する行為のために支出する費用
※法人が国または地方公共団体に対して支払った寄付金は、交際費には含まれず、原則として全額が損金に算入されます。
交際費には交際費の範囲に属する費用であれば、名称を問わず含まれます。また、「事業に関係ある者等」にはその法人の取引関係者だけでなく、その法人の役員・使用人・株主等も含まれるなど、社会通念上の交際費より広く捉えられています。
⑵交際費から除かれるもの
次のものは交際費に似ていますが含まれません。
福利厚生費:もっぱら従業員の慰安のために行われる運動会・旅行等のために
通常要する費用
広告宣伝費:カレンダー・手帳等の物品を贈与するために通常要する費用
会 議 費:会議に関連して茶菓・弁当等の飲食物を供与するために通常要する費用
②交際費の取扱い
法人が支出する交際費は、資本金に応じて【一定額が損金不算入】となります。
※資本金:法人の事業活動のために、株主から出資されたお金のことです。
◆交際費の損金不算入額
期末資本金額 損金不算入額(⑴年間当たり)
1億円以下 :①支出額 ー 800万円(計算結果マイナスの場合はゼロ)
②支出額 ー(飲食費の額×50%)
1億円超 : 支出額 ー(飲食費の額×50%)
※期末資本金額1億円以下の場合、①と②のうちいずれか少ない金額を選択します。
例えば期末資本金1億円以下の法人において、支出交際費の額が1,000万円そのうち飲食費の額が500万円であれば、①1,000万円ー800万円=200万円と②1,000万円ー(500万円×50%)=750万円のうち少ない金額①の200万円が損金不算入額となります。
なお、税務上の交際費の範囲から1人当たり5,000円以下の飲食費は除外され、損金に算入されます。例えば会計上の交際費の額が1,000万円で、そのうち1人当たり5,000円以下の飲食費の合計額が300万円であれば、支出交際費の額は700万円とみなされ、上記計算式に従って損金不算入額を求めることに借ります。
◆計算例
期末資本金が5,000万円の法人のある事業年度の支出交際費の額が①700万円の場合②900万円の場合それぞれの損金不算入額がいくらになるか求めましょう。尚、いずれの場合も飲食費は300万円で、1人当たり5,000円以下の飲食費は含まれていません。
資本金は1億円以下
①支出交際費の額が700万円の場合
交際費の額は800万円以下 ➡︎ 損金不算入額はゼロ
②支出交際費のの額が900万円の場合
交際費の額は800万円超 ➡︎ 支出額ー800万円
900万円ー800万円=100万円
支出額ー(飲食費の額×50%)
900万円ー(300万円×50%)=750万円
100万円<750万円
損金不算入額は100万円となる
【損金不算入の計算フローチャート】