法人税

減価償却の取扱い

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①減価償却とは
固定資産のうち仕様や時の経過に伴って、その価値が減少していくものを減価償却資産といいます。減価償却資産を取得した場合取得した金額は、取得した時に全額費用になるのではなく、仕様が可能な期間(耐用年数)に費用を配分して各期の費用とします。この計算の手続きを減価償却といいます。またこの費用を、減価償却費といいます。
例えば500万円で機械を購入したとします。その機械は5年間使用できるものとすると、購入した年に500万円を全額費用にするのではなく、5年間で費用にするということです。
この機械を使って5年間製品を生産し、出来上がった製品を販売することによって5年間収益(売上)を計上することができます。
このように収益に5年間貢献するのなら、その収益に対応して費用も5年間にわたって配分しましょうということです。

②耐用年数
減価償却資産の使用可能期間を耐用年数といいます。税務上、減価償却費を何年に渡って計上するかは、固定資産などの種類や構造などによってきめられています。これを法定耐用年数といいます。
平成19年4月1日以降に取得した減価償却資産については、法定耐用年数経過時点で全額償却することができます。ただしこの場合、帳簿上は残存価額を1円(備忘価額)とします。
※備忘価額:減価償却資産の帳簿価額がゼロになる場合でも、業務で使用している場合は名目上1円と記載します。

③減価償却の計算方法
減価償却の計算方法で、代表的なものは「定額法」と「定率法」です。資産の区分に応じて選択することが出来ます。

⑴定額法による計算
定額法は、毎年均等に減価償却していく方法で、次の算式で算出します。

◆定額法の計算式
償却限度額=取得価額×耐用年数に応じた定額法の償却率×(事業供用月数/12)

【定額法のイメージ】

⑵定率法による計算
定率法は、減価償却を耐用年数の各年ごとに一定の償却率で計算する方法で、次の算式で算出します。平成24年4月1日以降に取得した減価償却資産の定率法の償却率は、定額法の償却率を2倍した数になります。定率法により計算した減価償却費が一定の金額を下回るときに、償却方法を定率法から定額法に切り替えて償却し、法定耐用年数経過時点で全額償却できるようにします。

◆定率法の計算式
償却限度額=未償却残高×耐用年数に応じた定率法の償却率×(事業供用月数×12)

【計算例】

④減価償却に関する届出
減価償却については基本的に「定額法」と「定率法」のいずれかを選択することができ、その方法を届け出ることになっています。

⑴減価償却の選択
減価償却資産とは、例えば建物や機械、車両などです。「定額法」か「定率法」を選択し、納税地の所轄税務署長に届けなければなりません。但し、平成10年4月1日以降取得の建物、平成28年4月1日以降取得の建物附属設備、構築物については定額法になります。

⑵届出の期限等
減価償却は、個人の所得税にも法人の法人税にも決められた取り扱いがあります。

【表】

⑤特別な取扱い
⑴少額または使用可能期間1年未満の減価償却資産
取得価額が10万円未満または使用可能期間が1年未満の減価償却資産は、損金経理をすればその全額を事業のように供した年度の損金にすることができます。

⑵一括償却資産
取得価額が20万円未満の減価償却資産については、損金経理をすれば一括で3年間で均等に損金にすることができます。これを一括償却資産といいます。

【表】
例えば取得価額が98,000円の資産の場合、①全額損金②3年間で損金が可能ですが、出来るだけ取得した年度の損金を多くする場合は①全額損金を選択することになります。

⑶中小企業者等の特例
一定の中小企業者など(資本金が1億円以下)で青色申告をしている法人が、取得価額30万円未満の減価償却資産を取得した場合、損金経理をすれば特例として、その全額を事業のように供した年度の損金にすることが出来ます。
但し、減価償却資産の取得価額が30万円未満であっても、一事業年度中の取得価額の合計額が30万円を超える場合は、その超える部分の金額は特例の対象とはなりません。

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