①法人税の計算
⑴法人税の計算
法人税の税額の計算はまず、「会計上の損益」に加算や減算など一定の調整(申告調整)を行って「所得金額」を算出します。この「所得金額」に法人税の税率を掛けて法人税額が算出されます。法人税の税率は法人の種類に応じて異なります。
算出した税額に特別税額(留保金課税や使途秘匿金課税など)を加え、税額控除額(所得税額控除や外国税額控除など)を差し引いて納付税額を求めます。
【図解】
⑵法人税の税率
法人税では、原則として所得金額にかかわらず一定の税率になっており、これを【比例税率】といいます。ただし、法人の種類の応じて提要される税率が異なる場合があります。
資本金1億円超の普通法人では所得金額に関わらず一律【23.4%】の税率が適用されます。資本金1億円以下の普通法人(中小法人)や公益法人等では「所得金額のうち年800万円以下の部分」については、特例により15%の軽減税率が適用されます。「所得金額のうち年800万円超の部分」には本則通り中小法人等は23.4%、協同組合等・公益法人等は19%の税率が適用されます。
【図解】
【計算例】
資本金5,000万円の法人の所得金額が1,000万円とすると、法人税の額はいくらになるでしょうか。なお特例による軽減税率を適用します。
【答え】
資本金1億円以下の法人なので所得金額800万円以下の部分とそれを超える部分に分けて、それぞれの税率を求めます。
800万円以下の部分:800万円×15%=120万円
800万円超の部分 :(1,000万円ー800万円)×23.4%=46.8万円
法人税の合計=120万円+46.8万円=166.8万円
②特別な税率による計算
法人税の税額が算出された後に、それに加えて特別な税率による課税がされる場合があります。
特別な税率が適用されるケースは、特定同族会社に適用される「留保金課税」と使途秘匿金の支出を行なった場合に適用される「使途秘匿金課税」があります。
⑴特定同族会社の留保金課税
特定同族会社が利益を株主に配当しないで車内に留保し、その留保金額が一定の限度額を超える場合、通常の法人税額の他にその超えた部分(課税留保金額)に特別な税率で法人税が課されます。これを留保金課税といいます。
なお特定同族会社とは「株主等とその同族関係者」を1つのグループとして、上位1つのグループが所有する株式等が、その会社の発行済株式等の【50%超】となる会社をいいます。
ここでいう「株主等とその同族関係者」とは、株主・株主の親族・内縁関係者・個人の使用人など特殊関係にある個人や法人を指し、いわゆる「株主グループ」のことです。
⑵使途秘匿金課税
法人が支出した金銭のうち、相手方の氏名や住所等を帳簿に記載していないものを「使途秘匿金」といいます。
法人の支出する「使途秘匿金」については、普通の法人税の他に「支出額の40%」の税率で法人税が課されます。
③法人税の税額控除
税額を計算した後でその税額から直接差し引けるものに、税額控除があります。法人税の税額控除には、法人税の前払い分の精算としての性格がある「所得税額控除」と外国との二重課税を調整する「外国税額控除」などがあります。
「所得税額控除」は法人が受ける利子や配当などについては、個人と同様に所得税の源泉徴収制度が適用されますが、所得税と法人税の二重課税を排除するために、納付すべき法人税から控除して精算するという趣旨で設けられています。
「外国税額控除」は、国外の所得について外国の法人税額に相当する額と、国内の法人税の国際二重課税を排除するために設けられています。