老後生活を不自由なく送るために必要な資金は2,000万円…。そんなニュースが流れ、メディアの情報に踊らされているなんてことはありませんか。尽きない将来への不安に駆られてしまい、家計は赤字・貯蓄も十分とは言えない状況の中、無理な投資をするのは自分の首を絞めるだけで得策ではありません。漠然とした老後の不安を抱えながらとにかく老後資金作りをしないといけないので、つみたてNISAなどの積み立てを始める。その前に先ずは今の生活状況を客観的にとらえる必要があります。現状の家計の支出・貯蓄をしっかり把握することで足元を固め、課題点があれば先ずはそこをクリアする必要があります。その上での投資云々を考えていきます。物事を考えるにはまず状況を把握、お金の見える化をする必要があります。家計改善のために「家計簿アプリ」を利用したり、私の場合だと支出は殆ど電子決済で行います。登録しているクレジットカードでなるべく支払いを済ますことで、毎月の支払額を把握する事が出来ます。自動販売機や公共のごみ袋など現金でしか支払うことが出来ないものもあるので現金の把握も別途必要なこともあるのでたまに面倒になりますが。収入は気にするのに把握しているのに、支出はわからないそんな暮らしはもう終わりです。支出を把握し、その支出のなかでもたばこやお酒といった嗜好品の消費が浪費になっていないか確認、自己スキルを磨き将来の投資として使う習い事や書籍等の必要消費額、それから今後の為の投資額を試算する事で初めてライフプランニングが出来るのです。ここではより具体的にお金のやりくりを把握するために一家庭のペルソナ設定を行い、収支のバランスを見ていきたいと思います。
税優遇の資産形成を考えるより先ずは貯蓄を優先!
家計データの把握
プロフィール・相談内容のペルソナ
Aさん(44歳・会社員)、妻(43歳・会社員)、長女(3歳)の3人家族。
5年前に結婚。マンションを購入し、現在住宅ローンを返済中。
相談内容
結婚するまで各自が自分の収入を自由に使ってきた習慣が抜けず、意識はあるものの家計管理が出来ていない。しかし子どもができて教育費の準備が必要であり、老後にも備えなければならないと考え始めた。預貯金は200万円しかなく、年齢的に少ないと感じ焦っている。そんな中つみたてNISAなどの積み立てを知り、上限いっぱいまで毎月積み立てることにした。お得に手軽に始められ、資産形成ができるメリットに惹かれ続けているが、毎月の収入からはまかないきれず、ボーナスから補てんするような状態。お金が増えている実感が全くなく実際に貯蓄も増えている気がしないためアドバイスをお願いしたい。
問題点を上げる
ボーナスは手取り約100万円(年間、夫婦の合計)で、自宅の固定資産税が約10万円、帰省費用やスーツや家電の買い替えなどに約20万円を使っており、赤字補てんを合わせるとほとんど残りません。つまり、つみたてNISAなどの積み立てで上限まで積み立てをしているものの、それ以外は貯蓄できていない、ということです。まずは毎月の表面的な不足を解消して家計をシンプルにすること、流動性資金や安全性資金を確保することを優先課題とします。
見直した内容(基本生活費)
食 費1週間の予算を1.2万円×5週でやりくり
通信費夫婦のスマホを格安SIMに変更
生 活必要な分を購入し買いだめ防止
教育費休みがちな習い事を止める
被服費成長期の子供服を計画的に購入
交際費優先順位をつける
娯楽費お金のかからない娯楽にシフト
見直した内容(貯蓄・投資)
iDeCo夫婦それぞれの掛金を月2.3万円から1.2万円に減額
つみたてNISA同様に掛金を月3万円から1万円に減額
改善のポイント
ココがポイント
先ずはAさんの収支を把握(実際はヒアリングや支出は通帳を確認したりで買い物などの頻度や都度の使用金額を推測し把握していきます。)
それを基に無駄が無いか支出をチェックし赤字を解消。将来に向けての貯蓄についての計画を立てます。
毎月の不足を解消し、3つの口座を使った貯蓄計画を提案。節約とつみたてNISAなどの減額を改善し、まずは赤字解消を優先させてプランニングを行う。
収支の改善策
節約とつみたてNISAなどの減額を提案まずは赤字解消を優先させる
まずは「支出の見直し」です。
固定費については先ずスマホを格安タイプにして通信費を節約するほか、休みがちな習い事をやめて教育費を減らすなど、無駄をカット。食費は週単位で管理するようにし、不足したら翌週は抑える、余ったら翌週以降に持ち越す、というルールを徹底すれば管理しやすくなります。その他家計簿アプリの利用や、クレジット決済をすることで毎週・毎月の支出額の把握をして食費の調整をする等出来る事は色々あります。
保険についても、保障が重複している医療保険を整理することで月額8,000円を削減します
それらの見直しによって毎月の支出は6万9,000円節約でき、不足は解消されます。
しかしつみたてNISAなどの積み立ての積立額を大幅に減らすことで更に家計を見直すことが出来ます。
節税効果や運用益非課税のメリットを受けて資産形成をすることも大切ですが、食費、生活日用品、交際費、娯楽費など、実際に試してみて変動費の節約が軌道にのるまで、毎月の家計に余裕を持たせます。当面は、いつでも使える「貯蓄を増やす」ことを優先させます。
つみたてNISAなどの積み立てはボーナスを利用して税メリットを享受
以上の見直しによって、毎月の支出(つみたてNISAなど含む)は13万1,000円削減され、50万4,500円から37万3,500円に、月々の収支は7万1,500円のプラスになります。
またボーナスから不足分の補てんをする必要がなくなり、70万円程度の余裕ができます。そこで、ボーナスから30万円を貯蓄に、残りをつみたてNISAなどの積み立てに振り分けます。税メリットの大きいiDeCoに26万4,000円を拠出、残りの13万6,000円をつみたてNISAに回します。
iDeCoについては、今までは夫婦それぞれが上限額の月額2万3,000円を拠出し、夫婦で約10万円の節税効果を得ていましたが、毎月の拠出額を減らすことで約5万円にダウン【図解】。しかし助言どおりの節約をすれば、ボーナスからiDeCoを上限まで拠出でき、所得控除のメリットをフル活用できます。
家計見直し後の貯蓄計画は、【図解】のとおり。毎月の給料からも、ボーナスからも貯蓄や投資ができ、年間で200万円程度が貯められます。
「月々の不足を解消して家計をシンプルにすること、ボーナスからも貯蓄や投資をすることが重要です」
使う口座、貯める口座でベースを固め増やす口座で将来に備える
具体的には
『使う口座』には毎月の生活費と冠婚葬祭などの臨時支出に備えるお金、
『貯める口座』には病気などのもしもに備えるお金や教育費など確実に準備しておくべきお金、
『増やす口座』は将来に備えるお金です。
特徴は、『使う口座』には生活費の1.5カ月分をキープする、という点にあります。
「冠婚葬祭、家電の買い替えなど、臨時の出費があって月単位の収支が赤字になると、貯蓄などから補てんすることになります。そうしたことを繰り返していると、いくら使っているのか、いくら貯蓄できているのかがわからず、貯蓄へのモチベーションが下がってしまいがちです。そこで、『使う口座』には臨時支出に備えて生活費の半月分の余裕をもたせ、赤字にならない状態を作っておきます」
給料が入ったら生活費の1.5カ月分を『使う口座』に入金。
Aさんの場合は、毎月の生活費が約33万円(つみたてNISAなどを除く)ですから、約50万円です。
翌月以降も、給料日には、口座の残高が50万円になるように入金していきます。
例えば臨時支出がなければ翌月は33万円だけの入金で済みますから、月々の収支の約7万円分は『貯める口座』に入れることができます。臨時支出がなかったり、被服費や娯楽費などの変動費が抑えられたりすれば、『貯める口座』に回る額が多くなる、というわけです。『貯める口座』には少なくても生活費の6カ月分(約200万円)程度、より安心感を高めるには1年分程度を確保します。
それを上回れば『増やす口座』に入れられますし、毎月の家計からつみたてNISAなどの拠出をしても構いません。つみたてNISAへ回す額を増やすこともできます。
「中学、高校などで私立への進学を考える場合は、貯める口座の額を増やす必要がありますが、Aさんは高校まで公立を予定しているため、中学、高校の進学費用などは『貯める口座』から賄えばいいでしょう。大学の費用は『増やす口座(将来のための貯蓄)』で準備すればいいと思います」
Aさんが65歳まで働くと、老後までは約20年。【図解】の計画なら、20年間で貯蓄と投資をあわせて4,000万円以上を貯められる計算です。「臨時支出や教育費を考慮しても、ある程度安心できる老後資金が準備できると思います」。
結論まとめ
- 固定費、変動費とも実現可能な節約をする
- つみたてNISAなどの積み立ては拠出の仕方や額を調整する
- 自分に合った内容で口座を分け資産形成する