人生100年時代、リタイヤ後の生活費のベースとなるのは言うまでもなく終身でもらえる公的年金でしょう。問題なのは毎月の生活費を受けとる(給付される)金額で全てまかなえるかどうかだと思います。
年金生活者夫婦の月ごとのの家計のやりくりを見ると、公的年金などによる収入203,254円にたいし、支出は237,619円。赤字にあたる34,365円は貯蓄の取り崩しでカバーしていることになります。
参考総務省「家計調査報告(家計収支編)2017年2世帯属性別の家計収支より
さてそのカバーしている貯蓄が無くなったらどうします?
iDeCo(イデコ)で老後のゆとりを「積み立てじぶん年金」でゲット。資産づくりに使えるものは使おう!
このようにながい老後を豊かに過ごすにはいわゆる公的年金とはべつに、貯蓄や計画的な備えがマストとなりました。
公的年金は、バリバリ働く世代(現役世代)が納めた保険料を、リタイヤ世代(年金世代)にその時々の保険料収入から用意するやり方(賦課方式)で、バリバリ働く世代からリタイヤ世代への仕送りに近いイメージです。
ごぞんじの通り、今の少子高齢化のこの世の中においては、バリバリ働く世代が少なくなっていき、リタイヤ世代が増えていくかたちのため、リタイヤ世代が受けとる(給付される)年金は減っていくいっぽなのです。
バリバリ働く世代が高齢になって年金を受けとる頃には、子どもなどその下の世代が納めた保険料から自分の年金を受けとることになります。
さていったいいくら受けとれるのでしょうか。
厚生労働省の発表によれば、2025年時点の所得代替率は56%(現在は59%)、さらに2032年にかけて給付水準は緩やかに低下し、最終的な給付水準はモデル年金の52%となるとあります。
ここでいう「所得代替率59%」というのは、バリバリ働く世代にもらっていた給料の59%が年金として受けとれるというものです。
さあみなさん、年金が無くなることはないけど受け取るお金は減っていきます、ではどうします?年金とはべつに「じぶんのための積み立て」をしましょうということです。
「積み立てる年金」の代表がこの「iDeCo(イデコ)=個人型確定拠出年金」というわけです。
また公的年金やいままでの企業年金とはちがい、国や企業の年金資産の運用がうまくいかなかったときのような「巻き添え」を食らわなくて済む。
さらに「税金が免除される(税制優遇)」を受けながら積み立てることができる。
さあ「積み立てじぶん年金」づくり始めてみませんか。
iDeCo(イデコ)の最大の特徴は「税金が免除される(税制優遇)」がある
ではどのように自分年金づくりに取り組めば良いのか。
先進国を中心に公的年金が少なくなる代わりに、個人ひとりひとりが「積み立てじぶん年金」ができるように国がサポートする制度が整えられてきています。
日本でそれにあたるのがiDeCo(イデコ)とつみたてNISA(小額投資非課税制度)です。
どちらも税金が免除される(税制優遇)を受けながら積み立てじぶん年金ができるしくみです。
これら2つとも利用することもできますが、積み立てられる金額には制限(年間拠出限度額)があるため積み立てじぶん年金に特化され、税金が免除される(税制優遇)の内容も手厚いiDeCo(イデコ)を優先したいですね。
iDeCo(イデコ)は基本的に20歳以上60歳未満であれば、ほぼ誰でも加入できます。
企業型確定拠出年金加入者は会社が併用を認めていなければ不可
職業などにより定められた積み立てられる金額の範囲で積み立てる額を決め、それを自分で選んだ投資信託や定期預金などで運用して、60歳以降に年金や一時金として受け取るものです。
原則60歳まで引き出せないので、確実にじぶん年金が貯まります
iDeCo(イデコ)の最大のメリットは積み立てるとき運用するとき受けとるときの3つのシーンで税金が免除される(税制優遇)が受けられるということです。
メリット1:「積み立てるとき(掛金の全額所得控除による所得税と住民税の軽減)」
メリット2:「運用するとき(運用非課税のメリットを生かす)」
メリット3:「受けとるとき(所定の控除の対象になる)」
iDeCo(イデコ)に入る「年代」によって活用のしかたが変わる?
iDeCo(イデコ)には「積み立てられる金額の範囲」があるため、MAXに活用するためには早く始め、ながく積み立てることが元本を厚くする最大限のポイントになります。
人生100年時代、今は20代~70代の50年くらいは働く必要がありそうです。年収100万円の差が生涯賃金に換算すると数千万円の差に広がります。
20代の考えかた
iDeCo(イデコ)を始める前にまずお金の出入りをチェックして、お金が残るようにして、毎月一定額ずつ貯蓄できるようになること。
これが出来るようになってはじめて、将来に向けた積み立てじぶん年金のスタートラインに立てます。
次に生涯賃金を上げるためのキャリアデザインを考えること。
iDeCo(イデコ)に積み立てるお金があったとしても、資格取得などキャリアアップにつながる自己投資にあてて収入アップをはかるほうが先決です。
この2項目をクリアしたうえで、お金に余裕があればiDeCo(イデコ)を始めるかどうか考えましょう。
30代~40代の考えかた
30代~40代はiDeCo(イデコ)を始めることをまじめに考えたい適齢期です。
まずは20代と同様に積み立てじぶん年金の形を整えたうえで、
結婚や子育て、住宅購入などのイベントがある場合は、教育費の準備やローン返済のプランのめどを立てること。
これがクリアできたタイミングがiDeCo(イデコ)のはじめどきです。
35歳くらいからスタートできれば積み立てる期間が25年間取れることになり、まさに理想的といえるでしょう。
一方ライフプランがなかなか定まらない場合、iDeCo(イデコ)を始めるリミットはどこまで引き延ばせるか。
45歳までには積み立てじぶん年金づくりに手をつけたいですね。積み立てる期間が60歳まで15年間ほどあるので、投資信託で運用すればある程度まとまったお金が作れるはずです。
教育費の準備や住宅ローンの返済プランをきちんと立てたつもりでも、思わぬ出費に見舞われるなど一時的に家庭が厳しくなることも考えられます。
その場合でもiDeCo(イデコ)のお金は引き出せないので、確実に積み立てじぶん年金は確保できます。
もし家計が厳しくなったら、所定の手続きをすればいつでも積み立てを中断することもできます。
そこまでの必要が無い場合は、年に1回積み立てを増やしたり減らしたりできるので、家計の状況にあわせて調整してなるべく続けたほうが良いでしょう。
50代の考えかた
50歳なったばかりのタイミングで、iDeCo(イデコ)を始めるケースをのぞくと積み立てる期間は10年未満となります。
iDeCo(イデコ)は加入期間が10年未満だと、年金や一時金の受け取りが61~65歳からとなるので、60歳以降のマネープランに支障をきたさないか考える必要があります。
60歳から受け取りまでの期間は掛金の拠出が出来ないため所得控除のメリットはなくなるが、口座管理手数料は負担し続けなければならない。
それでも検討の余地があるのは、会社員であれば50代前半で積立期間が6~7年以上あり、年間拠出限度額が27万6000円の人。おおむね150万円以上の積立原資が出来ます。
一方自営業者は50代後半でも加入を検討したいです。拠出限度額が年間81万6000円と非常に大きく、限度額まで積み立てれば5年間でも400万以上になるので拠出時の所得控除の効果も大きくなります。
人生100年時代となると積み立てる期間が60歳になるまでというのは短い印象もあります。積み立てる期間は65歳まで引き上げられる見通しなので、50代に入ってからでも遅くない時代が遠からず訪れそうです。
今の20~40代は65歳になるまで積み立てが出来るとおもっていいでしょう。
iDeCo(イデコ)は最初がかんじん!初期設定がたいせつ
iDeCo(イデコ)を始めるには、まず金融機関を選び専用口座を開設します。
手続きがネットで完結しないうえに、会社員や公務員は職場で書類に押印してもらう必要があります。
⇒事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書
さらにようやく書類を整え金融機関へ送付し終えても国民年金基金連合会から審査結果が届くまでに1~2ヵ月かかるなど、労力と時間がかかります。
しかし、口座開設と運用方針づくり(毎月の掛金の設定と期待収益率に応じた商品選び)さえ終えれば、非課税メリットの自分年金づくりはほぼ自動的に進みます。
最初のハードルをぜひ乗り越えましょう。
iDeCo(イデコ)についてのまとめ
- 「税金が免除される(税制優遇)」を使い「積み立てじぶん年金」を準備する
- iDeCo(イデコ)に入る前に年代やライフプランによって計画を立てる
- iDeCo(イデコ)でお金の運用をしているという意識をもつ